第21期 会長の挨拶
会長就任に当たって
可視化情報学会第21期会長 青木克巳
7月21日に開催された可視化情報学会第21期定例総会において,第21期の会長に推挙され,就任することになりました.大変光栄に存じますとともに,責任の重さを痛感し,身の引き締まる思いです.可視化情報学会は1973年7月に東京大学宇宙航空研究所(代表世話人浅沼 強)において第1回流れの可視化シンポジウムが開催されたことに端を発しています.先生の開催の動機は「流れの可視化の最新技術の情報交換の場の提供」「理工系,医学系等,種々の分野の研究者の親睦を深めたい」の二つを述べておりました.その後,1981年3月に「流れの可視化学会」として本学会はスタートしました.法人化を経て,1990年2月に「社団法人 可視化情報学会」に改組され,現在に至っています.可視化情報学会は,近年の厳しい社会情勢,価値観の多様化にも何とか対処しながら,ほぼ順調に発展し,本年は法人化20周年を迎えるという,学会史上に意義ある年であります.この間,歴代の役員や各種委員会など委員の献身的な努力と多くの学会員の参加,協力,事務局の支援などを得て,発展を遂げてきましたことに心より敬意を表します.
本学会では,会誌等の出版活動,可視化情報シンポジウム,全国講演会などの講演会活動,国際シンポジウムへの協力,定期講習会「可視化フロンティア」の開催など様々な活動を行っています.さらに,流れの可視化実験技術と並べて学会の両輪にすべく「情報」の可視化に重点を置き,「ビジュアリゼーションカンファレンス」を通じた活動を継続しています.第21期においても,これまでと同様に「情報」の可視化を最重点課題として活動を強化してまいります.このように学会として順調にその地歩を固めつつある訳ですが,多くの工学系の専門学会同様,現在の若者の工学離れ,社会における工学への関心の低下などもあり,会員数の減少など多くの問題を抱えています.喫緊の課題として,このような問題を解決すべく,学会をより魅力的にするなど様々な活動を強化し,変革を図っていく必要があります.今後,可視化情報学会が継続的に発展していくための取り組みとして次の3点を挙げたいと思います. 第一に,情報発信力,情報求心力を強化し研究者相互の交流を一層さかんにしていきたいと考えています.英文論文誌Journal of Visualization (JOV)は国際的にも高く評価されつつありますが,国際的情報発信をさらに拡大するため一層の充実を図っていくとともに,時代の趨勢に合わせてE-journal化を強化推進する.また学会誌,和文論文集のオンライン発行についても更なる拡充を図り,学会活動の情報発信力の向上につなげたいと考えております。
第二に、様々な研究領域,異分野の職業の方々に広く学会活動に参加していただけるようにしたいと考えています.そのために,「情報の可視化」への取り組みの強化です。最近, 様々な場で議論されていますように, 知識の指数関数的な増大, 細分化と複雑・高度化は, 専門家にとってすらその分野の知識を十分に活用することを困難にしています. このような状況を打破するためには, 知の構造化が必要ですが, 知識・情報の可視化はそのための強力なツールとなります. 学術分野だけでなく,ビジネス分野での「見える化」への関心の高まりなどもあり,様々な分野での可視化のニーズ・活用が広がっています.産業界における大規模データの分析においても,高度な可視化技術の応用が期待されており,本学会の役割もますます重要になっています.このような背景の下、産学連携推進評議会を中心にして、充実強化を図る予定です.
第三に,本会員の加入促進をこれまで以上に積極的に進めたいと考えております.これらを推進させるには,第一,第二の活動を通じて,より一層の会員の増強を引き続き進めますとともに, これらの活動を支えるための学会の財政基盤の強化に向けた検討を進める必要があります. 特に学会員の若返りを図るべく,若手の会員増強に向けて大胆な施策を検討してまいります.学会が果たすべき社会貢献の一つとして,JABEEに基づく大学教育プログラムや技術士の継続教育についての講習会の継続,さらに, 近年,特に若者の理科離れ・工学離れが指摘され,この傾向は依然と続いており将来の技術者の質と量の確保が危ぶまれる状況になりつつあります.このような現状を打開するためには,小・中・高,大学,学会,企業が個別に努力するだけではなく,協力し合ってより効率的な,また幅広い活動をすることが必要であると思われる.当学会においてもこれまで直接的,間接的に携わってきてはいるが,今後は,これらに対しても,若者およびこれらに携わる指導者のための「理科」,「工学,技術」の面白さを「見える化」「可視化」をキーワードとした積極的な環境つくりの姿勢を示す必要もあると思われる.例えば,シンポジウムに理科教育,工学教育の可視化セッション,講習会の開催などを継続的に開催するなどして学会の意見を反映させていくことも必要であろうと考える. このように,昨今,社会的にもニーズが高まってきた可視化技術分野において,同分野の研究活動を長年にわたり先導してきた可視化情報学会の役割は益々重要になって来ています.本学会の活動が,可視化技術,ひいては社会の発展に貢献できるよう,文理を問わず新たな分野を融合し,活動を強化してまいります.おわりに、阿部前会長をはじめ学会発展のためにご尽力された役員、シンポジウム担当のみなさまに厚くお礼申し上げますとともに,新会長へ就任するにあたり、一層の活動強化を目指して関係各位のご支援、ご協力を改めてお願い申し上げます.