第26期 表彰

第26期学会賞

論文賞

(1)
表  題: 円盤翼の急激迎角変化時の過渡的な渦構造
著  者: 長谷川裕晃(秋田大学),島川達也(筑波大学・院),松内一雄(筑波大学),中川健一(秋田大学)
対象論文: 可視化情報学会論文集,Vol.34, No.6, pp.9-16 (2014).
受賞理由: 本論文は,迎角が急激に変化する円盤翼に働く流体力とその周りの流れ場を調べたものである.2次元と3次元のPIVを駆使し,円盤翼周りの非定常な渦構造が詳細かつ精度良く可視化されている.渦構造の変化と流体力の変化の相互関連が議論されており,通常の翼の非定常効果と三次元効果に関する基礎研究として高く評価できる.また,流体力の制御法開発や,鳥・昆虫など生体の飛行システム解明など幅広い研究分野に有益な知見を与えるものである.
(2)
表  題: Mass transfer caused by gravitational instability at reactive solid-liquid interfaces
著  者: Ryoko Otomo(関西大学), Nobuhiko Ishii(北海道大学・院), Keita Takahashi(北海道大学・院), Shusaku Harada(北海道大学)
対象論文: Journal of Visualization, Vol.17, Issue 1, pp.49-57 (2014).
受賞理由: 本論文の著者らは,硫酸銅水溶液中におかれたステンレス製球形粒子群流動層と銅製電極に電圧を印加し,銅製電極から硫酸銅水溶液へ移動する銅イオンの濃度を赤外線吸収法によって可視化した.電極は粒子群上方に置かれており,密度の大きな銅イオンが粒子群に降下堆積した.銅イオンの輸送量は粒子の幾何学的配置に依存すること,密度差に伴う不安定性に起因した対流が輸送特性を支配することが明らかとなった.本論文により得られた知見は,様々な物質の輸送過程を時空間的に捉える手法を確立すると共に,流動層における対流現象の解明に寄与する.

技術賞

(1)
表  題: MusiCube: 特徴量空間における対話型進化計算を用いた楽曲提示インタフェース
著  者: 斉藤優理(お茶の水女子大学・院), 伊藤貴之(お茶の水女子大学)
対象論文: 可視化情報学会論文集, Vol.34, No.9, pp.17-27 (2014).
受賞理由: 本論文では,様々なジャンル・アーティストの楽曲の中から,楽曲の特徴に関するリスナーの嗜好に合わせて選曲する楽曲提示インタフェース「MusiCube」を構築し,その有用性を検証している.タイトルやアーティスト情報などのメタデータを用いた従来の提示インタフェースと異なり,多次元楽曲特徴量をもとに対話型進化計算によってリスナーの嗜好を学習することで,リスナーの感性に合った楽曲の提示を実現するもので,感性データを可視化する新しい技術として今後の発展が大いに期待できる.

(2)
表  題: Story visualization of novels with multi-theme keyword density analysis
著  者: Miyuki Yamada(日本大学・明星大学), Yuichi Murai(北海道大学), Ichiro Kumagai(明星大学)
対象論文: Journal of Visualization, Vol.16, Issue 3, pp 247-257 (2013).
受賞理由: 本論文では,文学作品の数値化解析による可視化法として提案されたキーワード濃度分布の視覚像表現を異なるカテゴリーの戯曲と小説に適用して,一つのテーマに対する物語の展開パターンが作品によってどのように異なるかを視覚像として示している.さらに,複数のテーマが複雑に関連して描写される小説において,それらのテーマの相互関連やそれが物語の進行とともにどのように展開していくかを3次元的に視覚化する手法を示している.これらの結果は,今後文学作品を多様な観点から解析し,新たな発見につなげていく研究に資するものと期待される.

奨励賞

(1)
受賞者:  菊地謙次(東北大学)
表  題: Near wall flow visualization by inclined-observation using confocal micro PIV method
対象業績: The 12th International Symposium on Fluid Control, Measurement and Visualization (FLUCOME2013), OS10-02-3 (2013).
受賞理由: 候補者は,マイクロ流れや生体内流れに関する研究分野において可視化技術を駆使した実験的研究で多くの業績を挙げた.特に,本論文は,共焦点顕微鏡を用いたマイクロPIV法による壁面近傍速度場計測において,その測定面を傾斜させることで速度分布の疑似三次元的な測定の可能性を見いだしたものであり,その簡便性と有用性に鑑みて技術的に高く評価できる.こうした氏の取り組みを通して,今後の研究活動が大いに期待できる.

(2)
受賞者:  松岡大祐(海洋研究開発機構)
表  題: 多次元伝達関数の地球流体シミュレーションの可視化への応用
対象業績: 可視化情報, Vol.33, Suppl.II, 可視情報全国講演会(会津2013)講演論文集, pp. 275-276 (2013).
受賞理由: 候補者の一連の研究では,シミュレーション結果の情報可視化において,多次元的な伝達関数(カラーマップ)や多変量解析等の手法を応用することで,研究者の気づきを促し,多変量データの新たな解釈を導き出す手法の開発に成功している.その成果は,地球科学と可視化情報の両分野の垣根を超え,新しい分野が切り開かれる段階に到達しようとしている.今後も,活発な研究活動によって,可視化情報における長期的な貢献および優れた業績が期待できる.

映像賞

(1)
受賞者:  佐藤慧拓(東洋大学 理工学部), 菊地謙次(東北大学), 望月 修(東洋大学)
表  題: 葉脈流れの可視化
対象作品: 2013年4月 学会HP フラッシュ (2013).
受賞理由: 本映像は,蛍光色素を植物ナンテンの葉に吸わせ,その高解像度蛍光マクロ像を微速度撮影することで,複雑に枝分かれした葉脈内の流れの可視化を行ったものである.吸われた水が葉の中央脈から分岐した側葉脈へ徐々に浸潤していく,植物内部の水の流れが鮮やかに可視化された,これまでにない可視化映像である.葉先端方向の吸水速度に関する学術的な知見を与えただけでなく,可視化技術の素晴らしさを広く一般に知らしめることのできる,美しい映像である.

第42回可視化情報シンポジウム ベストプレゼンテーション賞

  1. 講演題目:Visualization of Scallop Larva Distribution in Funka Bay
    講演者:趙 コン (京大院)

  2. 講演題目:「スプレー塗装型非定常PSPの遷音速風試への適用と評価」
    講演者:杉岡 洋介 (東北大)

  3. 講演題目:「インデューサに発生するキャビテーションの高速度ビデオによる可視化」
    講演者:角田 篤洋 (東工大)

  4. 講演題目:「2色シート光とフレーク状粒子による円管内乱流パフの渦構造可視化」
    講演者:大久保 順平 (北大院)


第42回可視化情報シンポジウム アート賞

  • 大賞
      タイトル:粒子ベースレンダリングを用いた松が峰教会の半透明レンダリング
      作者:王 セイ, 長谷川 恭子, 岡本 篤志, 田中 覚 (立命館大)
  • 金賞
      タイトル:三次元プリンターを用いた航空機周り流れ場の数値シミュレーション 結果の立体可視化模型
      作者:石向 桂一, 松尾 裕一, 藤野 敦志, 酒井 憲悟, 藤田 直行 (JAXA)
  • 銀賞
      タイトル:笑顔のシンフォニー   作者:茨城 和花 (東洋大)